決算サマリー
三信電気の2025年3月期(第74期)の連結業績は、売上高157,342百万円(前年同期比12.2%増)、営業利益5,791百万円(同0.7%増)、経常利益4,934百万円(同26.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,522百万円(同28.5%増)となりました。
売上高はデバイス・ソリューション両事業ともに伸長し、過去最高水準を更新しました。特に純利益の大幅増は、円安局面での為替差損益の調整や、効率的な資産運用が寄与しています。
注目ポイント
中期経営計画「V76」の目標を前倒しで意識
2027年3月期を最終年度とする中期経営計画「V76」において、経営指標として重視しているROE(自己資本当期純利益率)は8.9%となり、目標とする「安定的に8%以上」を当期で達成しました。資本効率の改善が着実に進んでいます。
大阪支店不動産の売却
遊休資産の活用として、大阪支店の土地・建物を売却することを決定しました。これにより、来期(2026年3月期)の第1四半期に約10.8億円の特別利益を計上する見込みであり、キャッシュ・フローの強化が期待されます。
業界動向
エレクトロニクス業界では、AI(人工知能)関連の次世代技術需要が半導体市場を牽引しています。一方、国内ICT業界は、企業のシステム刷新やクラウド移行、DX(デジタルトランスフォーメーション)推進により、ITサービス市場が堅調に推移しました。同社はこれらの成長分野にリソースを集中させる戦略をとっています。
投資判断材料
長期投資家にとって、ROE 8%超の維持と配当性向50%を基本とする還元姿勢は魅力的な材料です。PBR(株価純資産倍率)は依然として1倍を下回る水準(約0.7倍前後)にあり、資本効率の改善がさらに市場に評価されれば、バリュエーションの修正余地があると考えられます。ただし、特定仕入先への依存度が高い点は留意が必要です。
セグメント別業績
- デバイス事業:売上高139,269百万円(前期比11.5%増)、セグメント利益2,773百万円(同31.9%増)。新規ビジネスの立ち上げにより車載向けが増加したほか、円安メリットも寄与しました。
- ソリューション事業:売上高18,072百万円(前期比18.2%増)、セグメント利益2,161百万円(同19.6%増)。企業向けネットワークや消防・防災関連ビジネスが好調に推移しました。
財務健全性
自己資本比率は48.2%と、前年末の48.5%から概ね横ばいで、良好な財務基盤を維持しています。有利子負債は24,257百万円に対し、現預金は9,361百万円を保有。営業キャッシュ・フローは3,980百万円のプラスを確保しており、健全な資金繰り状況です。
配当・株主還元
当期の年間配当金は1株当たり135円(中間30円、期末105円)となりました。前期(105円)から30円の大幅増配となります。同社は連結配当性向50%を目処としており、増益を積極的に株主へ還元する姿勢が鮮明です。
通期業績予想
次期(2026年3月期)の経常利益予想は4,200百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,650百万円を見込んでいます。今期に比べ経常利益は減少予想ですが、これは為替変動等の不透明感を織り込んだ保守的な計画と考えられます。純利益については、不動産売却益などの寄与により増益を確保する見通しです。
中長期成長戦略
「V76中期経営計画」に基づき、デバイス事業ではEV(電気自動車)やAI/IoTソリューションへの注力を進めています。また、ソリューション事業ではDX/AIビジネスの創造や、消防・防災関連ビジネスのエリア拡大を通じて、収益の柱を多角化する方針です。
リスク要因
- 仕入先依存度:デバイス事業の仕入高の約70%が上位3社に集中しており、仕入先の戦略変更が業績に直結するリスクがあります。
- 為替変動:売上高の約70%が米ドル建て取引であり、急激な円高は業績の下押し要因となります。
- 特定顧客:任天堂株式会社への売上比率が連結全体の11.6%を占めており、当該顧客の動向に左右されやすい側面があります。
ESG・サステナビリティ
TCFD提言に沿った情報開示を強化しており、2031年3月期までにScope1+2の排出量を約31%削減する目標を掲げています。また、人的資本経営として、女性管理職比率を2031年までに10%(グループ全体)へ引き上げる目標を設定し、多様性の確保に努めています。
経営陣コメント
鈴木俊郎社長は、中期経営計画の実行により「事業の持続的成長と資本効率の向上」を最優先事項として挙げています。株主資本コスト(8%)を意識し、エクイティスプレッド(ROEと資本コストの差)の拡大を通じて企業価値の向上を図る姿勢を強調しています。
バリュエーション
実績ベースの株価収益率(PER)は7.1倍、1株当たり純資産(BPS)は3,310.15円です。配当利回りは5%を超える水準(直近株価想定)であり、高配当利回り銘柄としての側面が強い一方で、低PBRの解消が今後の課題となります。
過去決算との比較
直近5年間の推移を見ると、コロナ禍の落ち込みから完全に脱却し、2023年3月期のピークに次ぐ高い利益水準を記録しました。特に営業利益率の改善よりも、純利益率の向上が顕著であり、不採算取引の整理やコスト管理の成果が表れています。
市場の評判
Sanshin Electric has a stock ticker 8150 on the Tokyo Stock Exchange. It has a mixed investor sentiment with some optimism on future growth. The company focuses on electronics and has a strong emphasis on trust, belief, and reliability in its business philosophy.
詳細リサーチレポート
承知いたしました。三信電気株式会社(証券コード:8150)に関する最新のリサーチレポートを作成します。
以下に、三信電気株式会社(証券コード:8150)に関するリサーチレポートをまとめます。
最新の業績動向と今後の見通し
- 2025年3月期の連結業績は、売上高1,573億42百万円(前期比12.2%増)、営業利益57億91百万円(前期比0.7%増)、経常利益49億34百万円(前期比26.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益35億22百万円(前期比28.5%増)となりました.
- 2026年3月期第2四半期は、デバイス事業とソリューション事業ともに案件前倒しにより大幅な増収増益となり、売上高877億円(前年同期比16.8%増)、経常利益29億円(同51.8%増)と好調な業績を達成しました.
- 2026年3月期の通期業績予想も上方修正されており、年間配当も増配を予定するなど、業績拡大と株主還元の両立を図っています.
業界内での競合ポジションと市場シェア
- 三信電気は、半導体、電子部品を取り扱う大手専門商社であり、デバイス事業とソリューション事業を両軸に展開しています.
- OpenWorkの社員クチコミ比較によると、競合他社として、株式会社レスター、株式会社リョーサン(半導体)、株式会社カナデン、佐鳥電機株式会社などが挙げられます.
- OpenWorkのデータでは、三信電気は総合評価で業界平均を上回っています.
成長戦略と重点投資分野
- 2024年4月より開始された中期経営計画(V76)では、「安定してROE8%以上を実現する事業構造の構築」をテーマに、最終年度である2027年3月期の経常利益50億円以上、当期純利益35億円以上という定量目標を掲げています.
- 長期的な企業ビジョンの実現に向けた重要課題に対する実行計画としてV76を策定し、事業の持続的成長と資本効率の向上、サステナビリティへの取り組みに注力しています.
- 成長市場への集中による収益の立て直し、既存ビジネスの効率化や合理化による収益構造の改善を進めています.
- 三信データセンターを基軸としたクラウド事業を強化し、技術力やパートナー協業による事業領域の拡大を目指しています.
- AIやIoTをはじめとする先行的な戦略スキルについても、十分な投資を行いビジネスチャンスの獲得につなげます.
リスク要因と課題
- デバイス事業の仕入先上位3社への依存度が高いことがリスク要因として挙げられます.
- 大口顧客の売上割合が高い収益構造もリスク要因です.
- 外貨建て取引が多く、為替変動の影響を受けやすい.
- 売上債権の回収期間と比較して仕入債務の支払期間が短いため、運転資金を外部からの調達に依存する財政構造となっています.
- 気候変動問題に関するリスクも認識しており、対応を誤った場合、競争力の低下や社会的な信用の失墜を招く可能性があります.
アナリストの評価と目標株価
- アナリストによる具体的な評価や目標株価に関する情報は、見つかりませんでした。
最近の重要ニュースやイベント
- 2025年11月6日、2026年3月期第2四半期決算短信および決算説明資料を掲載.
- 2025年11月6日、業績予想の修正並びに配当予想の修正に関するお知らせを掲載.
- 2025年11月19日~21日、InterBEE 2025に出展.
- 2025年10月28日、NEIAエレクトロニカ新潟2025に出展.
- 2025年10月22日~24日、IT・DX・AI総合展に出展.
ESG・サステナビリティへの取り組み
- 持続可能な循環型社会の形成に寄与するような事業活動を展開することを基本理念としています.
- 環境法令やステークホルダーからの要求事項を遵守し、省エネルギーや環境汚染の防止等、環境負荷低減につながるような製品やサービスの販売に努めています.
- 製品やサービスのライフサイクルの観点をもって、グループのあらゆる事業活動に由来する温室効果ガス排出量の継続的削減に努めます.
- 多様性の確保に向けた人材育成や社内環境整備といった人的資本経営を中長期的な企業価値向上に向け取り組むべき課題と認識しています.
配当政策と株主還元
- 連結配当性向50%を目処とし、株主への利益還元、成長機会獲得のための投資、持続的な成長を可能とする内部留保、資本効率の向上、これらのバランスを考慮して配当を決定することを基本方針としています.
- 2026年3月期の年間配当は1株あたり150円と予想されており、2期連続の増配となる見込みです.
- 2025年11月6日時点の株価(終値)2936円で計算した場合、配当利回り(予想)は5.10%となります.