決算サマリー
2025年3月期(第205期)の連結業績は、経常収益が643億66百万円(前年同期比16.1%増)、経常利益が87億1百万円(同54.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が71億66百万円(同92.8%増)と、大幅な増益を達成しました。地域の課題解決に寄り添う伴走支援の結果、貸出金利息や役務取引等収益が増加したことに加え、不良債権の回収による取立益の計上が利益を押し上げました。
注目ポイント
福邦銀行との経営統合の進展
2024年10月に株式会社福邦銀行を完全子会社化し、2026年5月には合併を予定しています。これにより、福井県内での圧倒的なシェアを背景とした「地域の課題解決業」としての進化と、システム統合等によるコストシナジーの創出が期待されています。
野村證券との包括的業務提携
資産運用や承継に関するコンサルティング業務において、野村證券との提携が順調に推移しています。金融商品仲介業務における預り資産残高は着実に増加しており、手数料収益(役務取引等収益)の安定的な柱となっています。
業界動向
地方銀行業界では、人口減少や低金利環境の継続を受け、経営基盤強化のための再編が進んでいます。福井銀行は福邦銀行との統合により、県内最大の金融グループとしての地位を固めています。また、北陸新幹線の県内延伸による地域経済活性化が追い風となる一方で、少子高齢化による労働力不足や物価上昇が地域企業の経営に与える影響を注視する必要があります。
投資判断材料
長期投資家にとっての考慮点は、単なる銀行業を超えた「地域価値循環モデル」への転換です。融資による金利収入だけでなく、DX支援やサステナビリティ支援を通じた非金利収益の拡大が、中長期的な収益基盤の安定に寄与すると考えられます。一方で、統合に伴うシステム移行費用や、有価証券ポートフォリオの再構築に伴う売却損のリスクも念頭に置く必要があります。
セグメント別業績
当行グループは「総合金融サービス業」の単一セグメントですが、主要な内訳は以下の通りです。
- 銀行業務:貸出金利回りの改善により、貸出金利息が258億93百万円(前年同期比13.1%増)と好調。
- リース業務:連結子会社の福銀リースが経常収益95億20百万円を計上し、グループ収益に貢献。
- 役務取引:コンサルティングや証券仲介の強化により、手数料収入が114億95百万円(同10.7%増)と拡大。
財務健全性
自己資本比率(国内基準)は連結で7.96%となり、前年末の7.41%から改善しました。バーゼルⅢ(金融機関の健全性を測る国際基準)の最終化を適用した上での水準であり、国内基準の4%を大きく上回っています。不良債権比率(金融再生法開示債権比率)は1.71%と、前年末から0.11ポイント上昇したものの、適切な貸倒引当金の計上によりコントロール可能な範囲にあります。
配当・株主還元
2025年3月期の年間配当は1株当たり58円(前年50円)と、実質的な増配となりました。また、2026年3月期より株主還元方針を変更し、配当性向(利益のうち配当に回す割合)の目安を従来の20%程度から30%程度へ引き上げる方針を打ち出しており、株主還元の強化に意欲的です。
通期業績予想
2025年3月期の実績は、当初計画(連結純利益40億円)を大きく上回る71億円で着地しました。次期については福邦銀行との統合効果を早期に実現し、安定的な収益確保を目指す方針です。2024年度のROE(自己資本利益率)は5.26%と、中計目標の3.0%以上を大きく上回るペースで進捗しています。
中長期成長戦略
「Fプロジェクト Vision 2032」を掲げ、2032年までの長期的な成長を描いています。現在は「中期経営計画Ⅰ」の延長期間と位置づけ、戦略分野(コンサルティング、デジタル、新規事業)への人的資源のシフトを加速させています。店舗数の削減(2022年比26%減)など構造改革を進める一方で、デジタル投資を年間6.5億円規模で実施し、利便性と生産性の向上を両立させています。
リスク要因
- 経営統合リスク:福邦銀行との合併プロセスにおいて、システム統合の遅延や想定外の追加費用が発生する可能性。
- 金利変動リスク:「金利のある世界」への移行に伴い、保有する固定利付債券(国債等)に含み損が発生するリスク。
- 特定地域への依存:福井県を主盤盤としているため、地域の景気動向や人口減少が直接的に業績に影響するリスク。
ESG・サステナビリティ
「地域価値循環モデル」を通じて地域社会の持続可能性に貢献しています。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に基づき、移行リスクや物理的リスクのシナリオ分析を開示。2030年度までにCO2排出量を2013年度比70%削減する目標を掲げ、2024年度は57.4%削減を達成しています。また、サステナブル投融資の累計実行額は3,329億円に達しています。
経営陣コメント
長谷川英一頭取は、日本経済がデフレ脱却に向かう中で、福井県内における北陸新幹線延伸を好機と捉え、地域の構造的な課題解決に注力する姿勢を強調しています。また、福邦銀行との経営統合を「地域の課題解決業として進化するための手段」と定義し、統合シナジーの早期発現に強い意欲を示しています。
バリュエーション
2025年3月末時点の指標は以下の通りです。
- PER(株価収益率):5.81倍(利益面から見て割安感が強い)
- PBR(株価純資産倍率):約0.4倍(資産価値に対して大幅に割り引かれた水準)
- ROE(自己資本利益率):5.26%
※PER、PBRは地銀業界全体で低い傾向にありますが、還元方針の拡充が今後の評価見直しにつながるかが焦点です。
過去決算との比較
過去5年間の推移を見ると、連結経常利益は2021年度のマイナスからV字回復を遂げ、今期は過去5年で最高の利益水準となりました。特に、ここ2年は「地域の課題解決業」としての収益モデルが定着し始め、貸出金残高および利回りがともに改善傾向にあることが、これまでの季節的な変動を超えた安定成長につながっています。
市場の評判
Fukui Bank (8362) has a solid financial performance with increasing dividends and a growing investor interest. The bank's annual dividends have been revised upwards, and its stock has a favorable investor outlook. Fukui Bank's business growth and future prospects are generally viewed positively by investors.
詳細リサーチレポート
福井銀行(8362)に関する最新のリサーチレポートを作成します。
はい、承知いたしました。福井銀行(8362)に関する最新のリサーチレポートを以下にまとめます。
株式会社福井銀行(8362)リサーチレポート
1. 最新の業績動向と今後の見通し
- 2026年3月期第2四半期(中間期)決算:
- 通期業績予想:
- アナリストの見解:
- 業績見通し:
2. 業界内での競合ポジションと市場シェア
- 福井県内でのシェアは約40%であり、福井県の第一地方銀行である。
- 主要な競合他社として、福邦銀行がある。福井銀行は福邦銀行をグループ化し、2026年の経営統合に向けて準備を進めている。
3. 成長戦略と重点投資分野
- 中期経営計画:
- 経営統合:
- 重点投資分野:
4. リスク要因と課題
- 経営統合に関するリスク:
- 信用リスク:
- 市場リスク:
- 事務リスク:
5. アナリストの評価と目標株価
- 株予報Proによる理論株価は、PBR基準で2,257円、PER基準では算出されていません。
- 株予報Proによる下値目途は1,972円、上値目途は2,541円。
- みんかぶによるAI株価診断では割安と判断されています。
- アナリストによる目標株価は提示されていません。
6. 最近の重要ニュースやイベント
- 2025年3月6日: 福井銀行と福邦銀行が4月1日、相互に銀行代理業務を開始すると発表。
- 2024年5月10日: 福井銀行と福邦銀行の経営統合について(株式交換契約の締結に関するお知らせ)。
- 2024年7月26日: 環境省「令和 6 年度持続可能な社会形成に向けた ESG 地域金融の普及・促進事業」の採択について。
- 2025年11月14日: 2026年3月期第2四半期決算発表。
7. ESG・サステナビリティへの取り組み
- 環境省の「令和6年度持続可能な社会形成に向けたESG地域金融の普及・促進事業」に採択。
- 地域再エネ地産地消に向けた小水力発電の普及。
- TCFD提言に基づいた情報開示。
- CO2排出量削減目標の設定。
- 人的資本経営の推進。
8. 配当政策と株主還元
- 配当方針:
- 株主優待:
- 配当利回り:
その他
- 大株主: 明治安田生命保険、福井銀行職員持株会、日本生命保険、住友生命保険など。
- 株価情報: 2025年12月30日時点の株価は2,591円。